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交通事故

1.初めに

いつ誰に起こってもおかしくない交通事故。そして、交通事故に関しては、ほとんどの人が加害者にも被害者にもなり得るといってもよいと思います。では、交通事故が発生した場合、その加害者は、一体、どのような責任を負うのでしょか?

以下では、交通事故の加害者が負う各種の責任を概観した後、特に、私人間で問題となる民事上の責任(損害賠償義務)における損害の範囲や過失割合などについて説明を加えます。

2.交通事故を起こした人が負う責任

交通事故の加害者が負う責任には、以下の3種類があります。
すなわち、

  1. 刑事上の責任
  2. 行政上の責任
  3. 民事上の責任

です。

  1. 刑事上の責任には、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項。平成19年6月12日施行。これまでの業務上過失致死傷罪から独立して新設されました。)、危険運転致死傷罪(刑法208条の2)、酒酔い運転等の道路交通法違反の罪などがあり、刑罰の対象になります。
  2. 行政上の責任とは、免許停止や免許取消処分をいい、刑罰とは全く別のものです。
  3. 事上の責任とは、民法や自動車損害賠償保障法により、加害者が被害者に対して負う損害賠償義務をいいます。このうち、交通事故が発生した場合に私たち弁護士が関与するのは、加害者が刑事上の責任を追及される場面(具体的には、逮捕された、あるいは起訴されたといった場合に、その弁護人として活動することです。)と民事上の責任(つまり損害賠償義務)の有無あるいはその範囲について当事者間で意見が一致しない場面で、一方の代理人として交渉(さらには訴訟行為)する場面の2つです。以下、民事上の責任について述べます。

このうち、交通事故が発生した場合に私たち弁護士が関与するのは、加害者が刑事上の責任を追及される場面(具体的には、逮捕された、あるいは起訴されたといった場合に、その弁護人として活動することです。)と民事上の責任(つまり損害賠償義務)の有無あるいはその範囲について当事者間で意見が一致しない場面で、一方の代理人として交渉(さらには訴訟行為)する場面の2つです。

以下、民事上の責任について述べます。

3.損害の範囲

では、交通事故の加害者側は、具体的に、どのような損害について損害賠償責任を負うのでしょうか。逆にいうと、被害者は、加害者側に対し、どのような損害について賠償を求めることができるのでしょうか。

この損害の範囲(究極的には損害額の問題といえますが)は、後述する「過失割合」とならんで、皆さんが最も関心がある部分であると同時に、交渉等において最も揉める部分でもあります。

交通事故によって損害を被った場合、一般的には、次のような損害について、その賠償を加害者側に請求できます。

(1)怪我をした場合
  1. 治療費、入院雑費
    入院や通院してかかった治療費や通院のための交通費等、怪我の治療のために必要とされる費用を被害者が支出したものです。ただし、入院中にいろいろ支払ったものが治療に必要であったかどうかについては問題になり得ます。
  2. 入院付き添い費
  3. 休業損害
    怪我をしたため勤めを休み、これによって給料等をもらえなかったら、これは被害者の損害です。
  4. 逸失利益
    怪我が治っても、後遺症で事故前と比べ働けなくなった場合に生ずる逸失利益を損害として請求できます。損害の話をしている場面で、「利益」という言葉がでてくると違和感がありイメージしにくいかも知れませんが、「その事故がなければ将来得られたであろう利益」が得られなくなったことを損害とするものです。
  5. 慰謝料
    被害者は、痛い思いをするなど、精神的に種々の苦痛を受けます。この精神的な苦痛に対する損害賠償を特に慰謝料と呼んでいます。
  6. 弁護士費用
    加害者・被害者間の交渉がこじれて訴訟になり、弁護士に依頼する場合がありますが、この場合の弁護士費用についても、交通事故と因果関係のある損害といえます。 裁判においては、損害額の1割前後を加害者側に負担させる例が多いようです。
(2)死亡した場合

被害者が怪我をした場合、加害者側に対して損害賠償請求するのは原則として被害者自身ですが、被害者が死亡した場合、死亡者本人は損害賠償請求することはできません。そこで、この場合、死亡者に生じた損害(典型は逸失利益)は相続人に相続され、相続人が、民法により定められた相続分の割合に基づいて、損害賠償を請求することになります。

なお、交通事故に遭ったあと一定期間入院し、その後死亡したような場合には、入院分については傷害を受けたものとし、結局、傷害の分と死亡の分とを併せて請求できます。

  1. 葬式費用
    人は皆必ず死ぬのだから、加害者側が葬式費用を負担しなければならない理由はないという考えもかつてはありましたが、今では全く通用しません。加害者側が葬式費用の賠償を負担しなければならないことは当然のこととなっています。
  2. 逸失利益
  3. 慰謝料
(3)自動車が壊れた場合
  1. 修理費又は時価相当額の損害賠償
  2. レッカー費用
  3. 代車費用
  4. 休車損害

4.損害賠償義務を負う人の範囲

次に、上記2で述べた損害について、誰がその賠償責任を負うのかについて一言述べます。

「3.損害の範囲」のところで、請求の相手について、「加害者側」と言う表現を使いました。これは、損害賠償義務を負う人は、自ら事故を起こした人だけとは限らないからです。

例えば、会社の従業員が仕事中に交通事故を起こした場合、会社も責任を負わなければならない場合があります。また、友人に自動車を貸したところ、その友人が事故を起こした場合に、その自動車の持ち主である自分が責任を負わなければならない場合もあります。

5.過失割合

これは、損害を公平に分担させるという趣旨のもと、交通事故により生じた損害を、両当事者にどのように負担させるべきか、という問題です。もっとも、被害者は、すでに損害を負担している状態にあるので、実際には、加害者側に支払わせる損害賠償額をどこまで減額するかというお話になります。

先ほど「3.損害の範囲」のところで述べましたが、過失割合は、損害額と並んで、交通事故が発生した場合に最も揉める事柄の1つです。損害額を決める段階で散々揉めた後に、次にこの過失割合でもう一度も揉めることになる、というパターンが多いのです。

過失割合が争われる場面には次のようなものがあります。

(1)そもそも過失割合を決める前提となる事実について両当事者の言い分が異なる場合(例えば、交差点における出会い頭の衝突という事案で、どちらも、自分が交差点に進入するとき信号は青だった、と言っている。)と、

(2)事実については一致しているものの、「ぶつけられた自分は、全く悪くない。過失なんてない。」と言っているような場合があります。

(1)の場合、お互いの言い分を譲歩できない場合には最終的に裁判所でどちらの主張が正しいのかを判断してもらうことになります。

また、(2)の場合には、過去の裁判例の集積によって事故の類型ごとに過失割合が定めているので、それが一応の基準になります。

6.消滅時効について

最後に消滅時効について、一言述べておきます。交通事故により損害賠償請求権(加害者側に対し損害賠償を払えと言える権利)を取得したとしても、一定期間請求しないでいると、その権利は時効により消滅してしまいます。したがって、時効の問題は、常に念頭に置いておく必要があります。

交通事故による損害賠償請求権の時効期間は、加害者及び損害の発生を知った時から3年です。この「3年」の計算の始まり(これを「起算点」といいます。)の基準となる「損害の発生を知った時」とは、怪我をして治療を続けている場合には、損害が日々発生しているので、最終的にけがが完治した時点を、後遺症が残った場合には、これ以上治療しても改善も悪化もない状態に至った時点(これを「症状固定」といいます。)を指します。

ここに述べた問題のほか、交通事故をめぐっては数多くの問題があります。これらの問題を適切に処理するためには、どうしても専門的な知識を備えた弁護士との連携が必要と思われます。

そして、ここで、皆さんが心配になることの一つに、弁護士費用があるかと思いますが、今一度、みなさんが加入している保険証券をご確認ください。「弁護士特約」というのが付いている方も多いかと思います。「弁護士特約」が付いていれば、事故に遭ったときの事件処理にかかる弁護士費用は、保険で賄われるので安心です。しかも、弁護士は、自分で自由に選択することができます。

ですから、一人で悩ます、ぜひ当事務所に、気軽にご相談ください。

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